講座・勉強会

【レポート】グループホーム事業に相性の良い多角化とは2022.12.09#セミナー情報

 

一般社団法人 日本福祉事業者協会が定期開催する講座「グループホーム事業経営実践会」。2022年7月22日 開催テーマは、「グループホーム事業に相性の良い多角化とは」(講師:石塚 光太郎 氏)

 

昨年度の「グループホームにおける重度化・高齢化に対応するための報酬の見直し」を受け、その後の報酬形態は大きく変わってきていると思います。

利益を上げ、経営を安定させるために、既存のグループホームの規模を拡大するという考え方もあります。

しかしそうではなく、考え方を横に広げてみよう、というのが今回のセミナーのテーマです。

 

講師には、愛知県でグループホームを7棟経営し、実際に事業の多角化を実践された石塚さんをお招きし、これまでの具体的な取り組みについてお話いただきました。

 

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多角化としてやってきたこと。収益のためではなく、利用者の定着のため。

石塚さんの経営するグループホームには、利用者の通院など、外出時の付き添いについての相談が度々寄せられました。

設立当初は対応できていたものの、利用者の人数が増えていくにつれ負担になっていき、外部の移動支援(単独での外出が難しい利用者の手助けをする福祉サービス)事業所と提携しようとするも、その数はとても少なかったといいます。この事から、移動支援のサービスを社内に立ち上げ、『内製化』することにしました。

移動支援のサービスは、単体では利益に繋がりにくいそうです。ですが、このサービスがあるということを理由に、石塚さんのグループホームを指名する相談支援機関が増え、利用者の定着や、新規獲得のきっかけとして大いに効果を発揮しているといいます。

この経緯について石塚さんは、「多角化は何も、新規事業を立ち上げて利益を出すということではない。グループホームに必要とされる、既存の事業と足し合わせてどうプラスを出すか、ということを言いたい」と話しました。

 

次に、石塚さんは訪問看護の事業を始めますが、そこで注目したのが医療に特化した、精神科の訪問看護でした。

近年、精神疾患を抱える利用者が増えている一方で、症状により、入退院を繰り返す利用者はグループホームへの定着がしづらいため、敬遠され、受け入れが難しいというのが現状です。

しかし、担い手が少ない分今後に繋がると、いわゆる“逆転の発想”で、訪問看護事業に参入しました。利用者にとっての行いが最終的に利益へと繋がるのだと、石塚さんはいいます。

「ご縁をいただいた利用者さんたちがより幸せに過ごせるために何が提供できるか、という発想で内製化を考えていくと良いと思います」と参加者にアドバイスを送りました。

 

多角化を考えるのは良いこと、楽しいこと。

「例えば、今考えているのはバスツアー。コロナ禍に配慮したツアーが最近増えてきていると社員が企画を持ってきてくれた。みんなでアイディアを出してやっていこう、というポジティブな空気を出して行けていると思う」

石塚さんの会社では、週に一回、社員を集めてミーティングをやっています。その話し合いの中では、様々なアイディアがあがってくるといいます。

石塚さんは、「自分にとって、グループホームはマーケット。グループホームだからできる多角化を考えることは非常に楽しい」ということを繰り返し伝え、講義を終えました。

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セミナー後半は質疑応答の時間を設け、参加者からの質問にも答えていただきました。

 

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【セミナーでの主な質問】

1.グループホーム開設までの手続きの流れ

2.事業拡大にあたり、おすすめのマイルストーン(プロジェクトにおける中間目標地点や節目のポイント地点)を教えてください

3.支援員の確保ができない、入居者が集まらないなどの理由で、規模の拡張を躊躇している

4.仮に、訪問看護の事業を立ち上げた場合、病院への手続きは必要か? 開設方法を知りたい

5.マンション形態のグループホームについて情報があれば教えてください

6.今後、本格的に訪問看護を始めたい。しかし、現在連携している訪問看護師との継続が、決まり事の関係で難しい。利用者のためにも継続がしたい

7.購入予定の物件近くに路線がある。精神疾患を抱える利用者への影響、危険な行動に出てしまう可能性について

8.グループホームにおける正社員の人数について。また、正社員登用のタイミングは?

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セミナーを終え、参加者からは

 

“グループホームをマーケットと捉えて、利用者のためになることをビジネスに変えていく事で多角化となる考えは参考になりました。”

 

“精神疾患をお持ちの方の行き場が少ないこと、訪問看護を使って入院の繰り返しを防ぎ、日常生活が続けられるように支援する内容のお話が印象に残りました。”

 

などの感想をいただきました。

 

既存の物事の中から可能性を見つけ出す、福祉事業における多角化のモデルとして、非常に参考になるお話でした。

 

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当協会ではこれからも会員の皆様に役立つ情報をお伝えしてまいります。

今後とも日本福祉事業者協会をどうぞよろしくお願いいたします。

(この記事は就労継続支援A型事業所 インフィニピー小田急相模原 所属ライター青山星香が執筆しました)

 

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