【レポート】「障がい者グループホーム実地指導の急所」2021年6月グループホーム実地指導対策講座2021.08.31#お知らせ
グループホームを運営していく際、
必ず対応しなくてはいけないのが、行政による実地指導です。
実地指導に関しては
「このように対応して上手くいった」という経験も大切ですが
ベースとなる法令を理解しておくことが安定した運営につながります。
今回、日本福祉事業者協会では
行政書士の西田武史先生をお迎えし
実地指導の元になる法令の考え方について教えていただく
実地指導対策講座を開催いたしました。
西田先生は、10年以上にわたって、
障害福祉事業所の指定申請手続き、加算手続き、国保請求業務、
実地指導にまつわる事前対策や事後処理などの相談・指導業務など
安心安全な福祉事業所運営を支援していらっしゃいます。
今回は、
西田先生の長年の実績と、豊富な行政対応経験と法令知識を元に
グループホーム経営者の目線に立って、
実地指導において必ず押さえておくべきポイントを教えていただきました。
まず、大前提として
グループホームの実地指導は最終的に行政の判断です。
地域によって判断が異なるため
最後の最後には、それぞれが行政に確認する必要がありますが、
判断の元となる考え方は共通しています。
その行政判断のベースとなる法令には何が書かれているのか
どういう意図を持っているのかなどを
理解しておくことが、経営者としてはとても大切です。
では、具体的に実地指導チェックリストの
どの項目を重点的に対応しておく必要があるのでしょうか。
もちろん、全ての項目が大切なのですが
経営者として必ずチェックしておきたいのが
お金に関わるところです。
西田先生のご経験では、行政から、
「この個別支援計画がおかしいから過去遡って確認してください」とか
「人員配置おかしいから自分でチェックして、自主的に返還してください」
などと言われることがあった場合でも
行政側は、その金額がいくらになるかまでは把握していないとのこと。
実際にチェックしてみたら、
たまたま50〜60万円程度で済むこともあれば、
1,000〜2,000万円くらいになることもあったそうです。
例えば、
3年前は個別支援計画未作成減算5%でしたが、
50%に大幅に増えました。
万一、全て間違っていたということであれば、
3年分50%という、物凄い金額になってしまいます。
そのため経営者としては
2週間後や1ヶ月後に実地指導という通知が届いた場合、
まず減算に直結するものから見ていくことが大切です。
また、この1〜2年は
個別支援計画のチェックが非常に厳しくなっており、
アセスメント・モニタリング→原案→スタッフ会議→個別支援計画という
この4種類の書類に関連する一連の手続きに不備があったために
処分されるケースが多発しているそうです。
この一連の書類はしっかりした時系列も大切で
初めての時はアセスメント、6ヶ月毎にモニタリングを行い
原案を作成し、スタッフ会議を行い、個別支援計画を作成、
という流れを守ることも求められます。
また、この一連の手続きを行うのはサービス管理責任者であり
生活支援とか世話人には権限がありませんので
モニタリングをサビ管がやってないなども注意の対象となります。
細かいことで言えば、古い書式を使っている場合
短期・長期目標の項目が書かれていないことも多いのですが
担当者によっては項目がないとダメという場合もあり
行政の定めた形に対応しておくこともポイントなのだとか。
個別支援計画未作成減算は、
3年前に5%から50%に改正されましたが、
これはつまり、個別支援計画の作成がとても大切ですよ、と
行政が宣言しているのと同じことであり、
行政側としては、3年前に伝えたのにどうして放っておくの?という認識で
厳しくチェックされるのは当然のこと、と教えていただきました。
参加された皆様にも
法令の改正に行政からのメッセージを読み取り
それにきちんと対応しておくことが
福祉事業のオーナーとして非常に大切であることが
的確に伝わったのではないかと思います。
当協会ではこれからも
行政の対応や法令から読み取れるメッセージなど様々な観点で
グループホーム運営に必要な情報を提供してまいります。
今後とも日本福祉事業者協会を
よろしくお願い申し上げます。