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【成功事例】他業種連携で障がい者福祉に新しい風を。人に勇気を与える「オシゴト3.0」の世界を創る!(前編)2022.08.02#お知らせ

社会福祉事業者の方を対象に、本協会ではインタビュー取材を行っています。今回は、福祉バンク株式会社・代表取締役の白石直之氏にインタビューを行いました。M&Aに他業種連携の可能性を見出した白石氏が語る「オシゴト3.0」の世界とは。社会福祉事業者や、まだ社会福祉と直接かかわりのない企業経営者の方にもぜひ読んでいただきたい内容です。

白石氏プロフィール

福祉バンク株式会社 代表取締役 白石直之

NAOYUKI Shiraishi

早稲田大学理工学部卒業。上場企業在籍中に会社をダメにするM&Aを従業員として経験した後、オリックス出身者が代表を務める株式会社つながりバンクにて、スモールM&Aを約30件成約。中小のM&Aは従業員にとって良いこと、異業種とつなげることで強い会社にできることに可能性を感じる。

自身、友人や知人の子どもが体調不良や統合失調症による障害手帳取得をきっかけに福祉業界へ。幸福感を得ながら働く障がい者を目の当たりにし、そこから多くを学び障がい者雇用に取り組む福祉バンク株式会社を設立。



M&A業界から障がい者福祉業界へ

――白石さんはなぜ、障がい者福祉に関心を持ったのでしょうか? 自己紹介と、関心を持ったきっかけを教えてください。

白石氏:大学を卒業して、最初は大手半導体メーカーで働きました。会社の合併があり、それが自分の働き方を考える機会になりました。やりがい・働きがいを考えるようになり、このまま今の仕事を続けるよりも、必要とされる仕事をしたいという気持ちになって、M&A業界に転職しました。

転職した当時は、「スモールM&A」という中小企業間のM&Aに取り組む人もまだまだ少なかったのですが、今ではM&Aアドバイザーも増え、珍しい存在ではなくなったと思います。単なる仲介、アドバイザーではなくて「もっと役に立ちたい」と感じるようになって。M&Aの実務をしながら、他業種連携による可能性を強く感じていたので、「これをオシゴトに困っている障がい者福祉の就労A型、B型の世界に持ち込めないだろうか」と考えるようになりました。

――M&AのなかでもスモールM&Aは、他業種連携と結びつきやすい領域かもしれませんね。経営の多角化や業種転換を目的にM&Aを行う中小企業オーナーや、最近では起業や事業投資の手段としてM&Aを用いるケースも増えていると思います。

白石氏:そうですね。これは日本特有なのかもしれませんが、福祉業界に限らずそもそも他業種との接点が少ないと思います。もっと横断的に、業際的になればシナジー効果を生めるのではないかと。また、障がい者福祉は他の業種と比べても特に他業種との接点が少ないと感じます。中堅企業には、安定的に仕事を持っている会社が多くあります。一方で、就労継続支援A型・B型の事業所は、障がい者の方にやってもらう安定的な仕事を求めている。そんな他業種間を、メディアやM&Aでつなげていくことが私のミッションです。

人と仕事をマッチングすればシナジー効果がある

――M&Aの仕事で多くの企業、経営者の方々と接していた白石さんは、障がい者福祉事業者と他業種の会社をつなげるのに適任ですね。

白石氏:これまでの経験や経営資源を活かせると思います。障がい者の方の中には、一般の方が思っているよりもずっと能力があることを知らないことが多く、その能力と仕事がうまくはまればもっと活躍することができます。しかし、就労継続支援A型・B型の事業所には、はまる仕事はまだまだ少ないと思います。企業側は、障がい者に接点がなく、どうやって依頼したら良いのかわからない。どんな仕事ができるかもわからない。それなら、両社をつないでいけば良い。良いシナジー効果を得られると思います。

企業側も人手不足で、働き手が足りていません。採用するにも、一人あたりの採用コストは上がっていて、なかなか採用できない。採用できたとしても、すぐに辞めたり、育った頃に辞めてしまうという課題があります。

さらに、2021年3月からは障がい者雇用の法定雇用率2.3%へ引き上げられました。東京都の企業では約7割の企業が法定雇用率を達成できず、罰金を払っているという現状もあります。就労継続支援A型・B型の事業所に仕事を発注し、まずは障がい者の方々との接点を持つ。そして、良い人を採用していく。そんなステップを企業側に提示して、人手不足や法定雇用率の問題を解消していきたいです。

 *福祉バンク株式会社リンク「法定雇用率2.3%とは?障がい者雇用納付年金制度の仕組みを解説~東京都企業の約7割は未達~」

 https://fukushibank.co.jp/blog/sdgs-2ehpn-6f56m

ジョブボン(https://www.jobbon.net/)という中古本をリユースして、障がい者の雇用を作っている会社さんがあるのですが、ジョブボンさんは障がい者の方の得意なことと仕事をうまくマッチングさせている事例です。

障がい福祉では、「得意なことをやってもらう」という考えが出てきています。よくよく考えると健常者だからといって「我慢して苦手なことでもしよう」という考えの方が不自然に感じられます。

また、障がい者の方は、「約8割の人が、働くことに幸せを感じている」という調査があります。一方で、健常者の場合はたったの4割です。できないことができたという喜びや、働くことへのモチベーションなど素直な印象があり、現代人の他人と比較する、他者承認の要求は少ないのかなと感じます。

いろいろな社会福祉事業者の方や障がい者の方と接していると、仕事への価値観が減点方式じゃないことに気づきました。100点満点中70点だったときに、「30点取れなかった」と捉えるか、「30点取れた」と捉えるか。どう捉えるかで、心の持ちようは変わります。マインドが変われば、仕事のパフォーマンスも日々のQOLも変わるわけです。こういったことなど私は、むしろ障がい福祉から学べることはたくさんあるなと実感しています。

続きは、後編をご覧ください。

 



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