【福祉事業オーナーが知っておくべき知的・精神障害の知識】2020年5月度勉強会報告 その32020.07.27#お知らせ
最近は「発達障害」という言葉を
よく聞くようになりましたが、
知的障害と、発達障害、精神障害は
何が違うのでしょうか。
今回の勉強会では
これらの違いや、その特性についても
詳しくお話しいただきました。
広義において
「発達障害」「知的障害」「精神障害」は
全て「精神障害」に含まれるものとのこと。
精神障害は広義と狭義があり、
狭義の精神障害では、うつ病、統合失調症、神経症
パーソナリティ障害などが含まれます。
知的障害は医学的な視点から
・知的機能の遅滞がある(IQ70以下)
・生活上の適応機能に制限がある
・概ね18歳未満で現れる
という3つの条件(定義)があります。
発達障害は、生まれつきの脳の機能障害で
生まれ持った特質です。
ただ、交通事故で足を切断して歩けないといった
目に見える概念化しやすいものではないため、
実際のところは、あまり明確な定義はないのだそうです。
発達障害については、以前は診断がなかったために
「ちょっと変わってるね」「元気だね」くらいだったものが
診断され広く認識されるようになっていますが、
実際の総数として変わっているわけではありません。
例えば、ADHDの方の場合
・不注意 集中して話が聞けない、忘れっぽい、金銭管理ができない
・多動性 よくしゃべる、体の一部を動かす
・衝動性 思いつきをすぐ言動に移す
といった特徴がありますが、
環境を変えてあげたり、気持ちを変えてあげることで
上手く物事を進めていけることがあります。
発達障害は生まれ持った特質であり
それを持っているからと言って
社会でうまくいかないとは限らないのです。
発達障害の方で多くの場合
無理に社会に適応させようとしても難しいですが、
好きなものへの気持ちは人一倍強く持っていたりもします。
そのような生まれ持った特質に対して、本人が努力し、
且つ環境的に周囲に助けてくれる人がいたおかげで
誰にも成し遂げられないようなことが達成できたという話も
聞いたことがあるのではないでしょうか。
わたし達はどうしても「できないこと」を
クローズアップしてしまいがちですが、
できないものはできない、として
その人の特質をしっかり見極めて
得意なところ、伸びるところを伸ばしていくという
アプローチをしていくこともできるのです。
身体障害に関してはある程度マニュアルを作ることが可能なのに対し
知的や発達障害に対してマニュアル化するのは危険ですが
スタッフ側が、利用者さんの特性を認識し気を付けるだけで
コミュニケーションが変わってきます。
そして実際にスタッフが、利用者さんの特性を見極めるためには
「観察力」がとても大切になるということ。
相手の無意識な状態を観察していくことがポイントで
そこを観察していくことで
特性を把握していくことができるということでした。
今回の勉強会では、
どのようにしたら、忙しいスタッフであっても
適切に「観察」し、それを「記録」していけるのか
どのような点に気をつけていくべきか
どんな点を見落としてはいけないか、などを含め
すぐにでも使えそうな方法を教えていただきました。
参加者の皆様には、
それぞれのグループホームでスタッフの方々とシェアしていただくことで
すぐにでも、日々の支援に使っていただけるかと思います。
当協会ではこれからも
会員の皆様が、利用者さんに寄り添った支援を行えるよう
様々な形で勉強会を開催してまいります。
今後とも、日本福祉事業者協会を
どうぞよろしくお願いいたします。
日本福祉事業者協会事務局:杉本織恵