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【BCPレポート】福祉事業所におけるBCPのポイント 入所・入居系 vol.32022.12.28#お知らせ

本記事は、前記事【レポート】福祉事業所におけるBCPのポイント 入所・入居系 vol.2の続きです。ひな形上は記載がありませんが、感染が疑わしい利用者、職員をできるだけ早く見つけることは重要です。ガイドラインに沿ってご説明します。

 

1.感染疑い事例の発生

 ここでは体調不良者が発生した場合、新型コロナウィルス感染症発生の可能性を考え

すみやかに対処してください。

息苦しさや強いだるさ、発熱、咳、頭痛などの風邪症状、嗅覚や味覚の異常といった

特徴的な症状がある場合、新型コロナウィルス感染症を疑い対処します。

 施設・事業所等では、新型コロナウィルス感染症の疑いをより早急に把握できるよう

日頃から利用者の健康状態に注意することが重要です。

体調不良を自発的に訴えられない利用者も多いため、活動量の低下や食事量の低下など

いつもと違う様子にも気を付けましょう。

そして、体調管理の表やチェックリストの管理方法を明記し感染対策に継続的に取り組めるようにしてください。

 もし、感染疑い者を発見したら、できるだけ早く初動対応を行ってください。

すみやかに初動対応を行うことが利用者、職員を守り、施設・事業所等を守ることにつながります。

 

2.初動対応

 感染疑い者が発生した際の初動対応について、迅速な対応ができるよう準備しておきましょう。

 

(1)第一報

ここでは報告ルート、報告先、報告方法を整理し記載してください。

 

・管理者へ報告

感染疑い事例を発生した場合、だれがいつどのような内容を報告するかを明記しましょう。

 

・地域で身近な医療機関、受診・相談センターへ連絡

勤務時間帯によっては職員数が少なく対応に苦慮することも考えられます。

感染が疑われる場合は必ず医療機関や受診相談センターに相談し指示を受けることも明記してください。

どの職員が感染疑い者を発見してもすみやかに対応できるよう電話の周囲に掲示するなど周知を徹底しましょう。

 

(2)感染疑い者への対応

ここでは感染疑い者を発見した際に感染を拡大させないための行動がすみやかにとれるよう

ポイントを記載してください。

第一報と同時に行うべき事項として感染疑い者への対応があります。

 

・個室管理

まずはすみやかに個室管理ができるよう具体的な実施事項をご記載ください。

個室が確保できない場合や人手が足りない場合は、どのように対応するかも含めて検討し明記してください。

マスクの着用については、利用者自身で着脱できない場合や異食の危険性を考え

本人の特性に合わせたマスクの着用の働きかけなども検討し記載することが重要です。

 

・対応者の確認

対応する職員も可能な限り分けるよう勤務体制を検討する必要があります。

一人夜勤など担当者を分けることが困難な場合の対応方法についても記載してください。

 

(3)消毒・清掃などの実施

ここでは初動対応としての消毒・清掃について記載してください。

 

・場所(居室・共有スペース)、方法の確認

感染疑い者を発見した場合、居室内やトイレをはじめとする利用者が触ったと考えられる場所を消毒・清掃する必要があります。

すみやかに実施できるよう消毒・清掃場所や実施方法を明記しましょう。

 

3.検査

ここでは検査結果を待っている間は陽性の場合に備え、感染拡大防止体制の確立の準備を

行ってください。

検査結果が判明したあとの注意事項についてご説明します。

 

・陰性の場合

陰性の場合は、施設・事業所等の利用を継続し健康観察により注意してください。

検査の精度は100%じゃないため、状況によっては陰性が出ることもあります。

感染が疑われる場合は再度医療機関や保健所に相談し対応してください。

 

・陽性の場合

陽性の場合は保健所の指示に従い入院調整を行います。

入院にあたり、医療機関に利用者の健康に関する情報、必要な生活支援の内容、

施設・事業所等全体の感染状況など詳細な情報提供ができるよう準備してください。

また、退院基準を満たして退院した利用者についてはすみやかに受け入れ準備を

進めることが重要です。

医療機関において退院基準を満たした人からの感染リスクは非常に低いとされていることを

職員全員が正しく理解しましょう。

 

4.感染拡大防止体制の確立

 

 感染疑い者の検査対応中に、以下の感染拡大防止体制の確立を迅速に対応することができるよう準備しておきましょう。

 

(1)保健所との連携

ここでは保健所と連携し指示に適切に対応できるよう確認すべき内容を記載してください。

 

・濃厚接触者の特定への協力

施設・事業所等で感染者が発生した場合、濃厚接触者の特定に協力します。

保健所の指示に従って、共有スペースの座席表や勤務表などを参考に感染者と接触する機会の多い利用者や職員を特定します。

また施設・事業所等の運営を継続するために必要な確認事項、相談内容等についても

明記してください。

 

・併設サービスの休業

併設サービスについて、保健所からの休業要請等がある場合はそれに従いますが

自施設、事業所等で休業を検討する場合の基準についても記載しましょう。

 

(2)濃厚接触者への対応

ここでは施設・事業所等における実現可能な濃厚接触者への対応方法を記載してください。

 

・個室対応

濃厚接触者に特定された利用者に対しては、保健所より指定された期間中の健康観察を

より丁寧におこなうこと、個室対応や個人防護具の着用、担当職員の固定化などの基本の

対応方法について明記します。

 

・職員の自宅待機

また職員が濃厚接触者に特定された場合については、保健所の指示に従い

自宅待機や職場復帰する旨を記載するとともに、職場への報告内容やルール等についても

併せて記載しましょう。

 

(3)職員の確保

ここでは職員の不足に備え、職員確保の方法を記載してください。

 

・事業所内での勤務調整、法人内での人員確保

職員が感染者や濃厚接触者に特定された場合は、職員数が不足することが予想されます。

職員が不足した場合、職種に応じてどのように調整確保するかを記載しましょう。

部署内で調整できない場合は、他部署や法人内の他施設・事業所等外部に協力を

要請する必要があり、その場合の基準や方法についても検討しておいてください。

 

・自治体・関係団体への依頼

法人内でも職員確保ができない場合に備えて、自治体や関係団体との連絡方法についても

記載しておきましょう。

 

・滞在先の確保

また新型コロナウィルス感染症疑いや、濃厚接触者に特定された利用者を担当する職員は

自宅へのウィルスの持ち込みを心配して自宅へ帰れない場合があります。

自宅へ帰れない職員や外部からの応援職員に対して施設・事業所等の近隣の宿泊施設を

確保することも事前に検討し記載しましょう。

 

(4)防護具・消毒液などの確保

ここでは感染者発生時の使用量の増加を踏まえた備蓄量を検討し記載してください。

 

・在庫量・必要量の確認

感染者が発生した場合、個人防護具・消毒液の使用量は増加します。

在庫が十分あることは職員の安心にもつながりますので、増加する分の見通しを立てたうえで備蓄量を決定し記載してください。

 

・調査先・調達方法の確認

また、備蓄品の調達先が新型コロナウィルス感染症を含む何らかの理由で休業したり

地域での流行状況に応じて納品に時間がかかる場合もあります。

複数の業者と事前に調整し調達方法を明記しましょう。

 

(5)情報共有

ここでは感染者発生時の情報共有先を整理し記載してください。

 

・事業所内・法人内での情報共有

感染者が発生した場合誰がいつどこにどのような情報を連絡共有するか

整理しておきましょう。

感染者が発生したあとは、多方面かつ頻回な情報共有も必要になる分、個人情報の取り扱いや伝える内容にはより注意が必要です。

 

・利用者・家族との情報共有

また感染者発生後の対応方針については、事前に利用者・家族と共有することが望ましく

その共有内容や方法についても記載してください。

 

(6)業務内容の調整

ここでは優先業務を明確化し必要な手順などについて記載してください。

 

・提供サービスの検討(継続、変更、縮小、中止)

平時対応の業務調整の項目で検討した業務分類に応じて業務手順について記載してください。具体的な行動レベルで作成することで実際の対応時に有用なBCPになりますので

それぞれの業務ごとに作成してください。

 

(7)過重労働・メンタルヘルス対応

ここでは不安やストレスが軽減できるよう体制について検討・記載してください。

 

・長時間労働対応

複数の職員が感染者または濃厚接触者に特定された場合、出勤できる職員が

業務過多や長時間労働になる可能性が高くなります。

早めに応援職員を要請し、過重労働を予防するように努めてください。

また、特定の職員に負担がかたよった勤務とならないようルールを検討し明記しましょう。

感染症に対する不安や風評被害など職員に精神的ストレスが大きくなることも考えられるため

外部の相談窓口の活用も含めて心のケアができる体制を整備し記載してください。

 

(8)情報発信

ここでは情報を発信する際の対応方法や注意事項を記載してください。

 

・関係機関・地域・マスコミ等への説明・公表・取材対応

情報発信のタイミングや範囲、内容、方法などについて明記します。

プライバシーに十分配慮し、情報発信に関する注意点も合わせて記載してください。

取材については利用者や家族、職員が報道を通じてはじめてその事実を知ることがないよう

注意しましょう。

 

(9)入院までの対応

ここでは入院までの準備・対応方法について記載してください。

また施設・事業所等で療養せざるを得ない場合の対応方法についても記載しましょう。

保健所等に利用者の状況について症状だけでなく日頃の対応方法なども含め

可能な限り詳細に情報提供を行うよう準備しましょう。

医療機関に情報提供する際には、感染管理のために紙での受け渡しが困難な場合もあるため

電子媒体でも情報を用意しておくことが重要です。

やむを得ず施設・事業所等で療養が必要な場合に備え都道府県の衛生主管部局や

障害保健福祉主管部局に支援を依頼することや

急変時の搬送先、搬送方法についても事前に確認のうえ記載しておいてください。

 

以上で新型コロナウィルス感染症発生時のBCP作成のポイントについて

入所・入居系サービスに関する内容の説明を終了します。

 

出典:厚生労働省YouTubeチャンネル

「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続計画(BCP)作成のポイント-入所・入居系-」

URL: https://youtu.be/zrw5X1PYpvA

 

お勧め!「【レポート】【2024年4月から義務化】~福祉施設が備えるべきBCPとは~」

 



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