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虐待やいじめを防止するためには「認識すること(Recognize)」から2022.06.09#お知らせ

こちらの特設ページ(【令和4年度より義務化】障害者虐待防止の運営基準)にあるように、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定のひとつとして、「障害者虐待防止の更なる推進」が発表されており、令和4年度から運営基準に虐待防止の内容を盛り込むことが義務付けられます。では、福祉事業者としてどのような取り組みをすることが望ましいのでしょうか。『いじめ防止の3R:すべての子どもへのいじめの予防と対処(学苑社)』を参考にしながら、虐待・いじめ防止について解説していきます。

虐待やいじめ防止の3Rとは

ロリ・アーンスパーガー氏著、奥田健次氏・冬崎友理氏翻訳の『いじめ防止の3R:すべての子どもへのいじめの予防と対処』という専門書が、学苑社から出版されています。この本は、学校等におけるいじめを防止するための専門書ですが、虐待防止にも非常に役立つ内容です。ぜひ参考にしてみてください。

 

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本書のなかで、いじめ対策で重要なこととして3つのRが挙げられています。

認識すること(Recognize)

対応すること(Respond)

報告すること(Report)

本稿では、一つ目のRである「認識すること(Recognize)」について取り上げます。

障害者虐待の5つの類型

「障害者虐待の5つの類型」として、以下が挙げられています。

1.身体的虐待:障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。

2.性的虐待:障害者にわいせつな行為をすること又は障害者をしてわいせつな行為をさせること。

3.心理的虐待:障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応又は不当な差別的な言動その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

4.放棄・放置:障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、他の利用者による1から3までに掲げる行為と同様の行為の放置その他の障害者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。

5.経済的虐待:障害者の財産を不当に処分することその他障害者から不当に財産上の利益を得ること。

これと似た内容が、書籍のなかでは「いじめの型(タイプ)」として取り上げられています。

「身体的な攻撃」

ほとんどの学校の専門職員は身体的な攻撃行為、すなわち他の児童生徒を叩く、殴る、ぶつ、蹴る、突きとばす、転ばせる、押しやるなどのいじめを容易に特定することが可能である。教室や校内の施設に入るのを遮る行為も、身体的ないじめに含むことができる。

「言葉によるいじめ」

侮辱的なからかい、威嚇する、悪口を言う、あざける、痛めつける、攻撃的なジャスチャーをする、直接的に脅すなど。これらは学校という環境において、比較的明白で、目に見えやすい。

「関係性の、社会的な、感情面でのいじめ」

関係性のいじめには社会的排除、除け者にする、無視する、ゴシップや噂を故意に流すことで特定の児童生徒の評判を損なおうとする。接近してこようとする相手をくり返し拒むなどが含まれる。関係性のいじめは、学校の職員によって調査されたり、報告されたりしないままに潜行することが多い(Swearer, Espelage & Napolitano, 2009)。関係性のいじめは、女子により多く見られ、身体的な特徴や個人の性格に対する批判に基づく場合が多い(Besag, 2006)。

「所持品の破壊」

この形態のいじめには、他者の所持品を破壊したり、汚したりすること、教材、携帯電話、コンピュータ、リュックやその他の道具を含む個人的な所有物を損傷することが含まれる。

「ネットいじめ(Cyber-bullying)」

ネットいじめは、電子技術を使って行われるいじめである。ネットいじめの例としては、意地悪なメールやメッセージを送りつける、メールやネット掲示板、SNSで噂を流す、恥ずかしい写真や動画、ウェブサイト、嘘のプロフィールを広めることなどが含まれる。

参考:『いじめ防止の3R:すべての子どもへのいじめの予防と対処』(P.23より)

児童生徒を「障害者」に、学校を「施設」に、いじめを「虐待」に置き換えれば、いずれも参考になる内容です。虐待を防止するために重要なことは、まずは認識すること。現状や事実を正しく認識することから、虐待防止の第一歩は始まります。

次回は、2つ目のR「対応すること(Respond)」について解説致します。

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