【成功事例】異業種からの業界参入!福祉事業の多角経営化で高品質・高満足度の福祉サービスを(後編)2022.08.29#新着情報
社会福祉事業者の方を対象に、本協会ではインタビュー取材を行っています。今回は、アイエルサポート株式会社・代表取締役の石塚光太郎氏にインタビューを行いました。保険営業の世界から、異業種である福祉の世界への参入を決意した背景と今後のビジョンとは。前編はこちら。
福祉事業におけるマネジメントの重要性
――実際に福祉事業を経営されてきて、良いと感じたことや大変だと感じたことを教えてください。
石塚氏:福祉事業は組織で行います。これは、保険営業とは大きく異なる点です。オーナーが業務のすべてを把握・理解していなくても、組織で役割分担して事業を行うことができます。そのため、例えばコロナ感染などで自宅療養になったとしても、組織で回すことができます。子どもが小さいうちは、急な体調不良などもありますから、そういうときに家族を優先できるというのは本当にありがたいです。現場のスタッフにも、いつも感謝しています。
保険営業時代からマニュアル作りなどは得意だったので、そのときの経験が組織づくり・チームづくり、仕組み化にも活かされています。5年目を迎えて、少しずつですがいわゆる「自走する組織」になってきていると思います。最初は大変なこともありますが、スタッフの成長もダイレクトに感じられるので嬉しいですね。
組織で事業を営む以上、やはり現場に立つスタッフの人選は極めて重要だと常々感じています。当初はだれでも採用していたのですが、段々とノウハウも得て、「この人と長く一緒に仕事ができるだろうか」「利用者の方に良い福祉サービスをご提供できるだろうか」と考えながら採用するようになりました。人のマネジメントに完成はなくて、日々努力していかないといけないですね。
多角経営化が強みになり福祉業界を変え得る
――福祉業界に関する課題感や、今後実現したいことはありますか?
石塚氏:ここ最近感じることがあります。それは、「障がい者福祉は、まだまだ未成熟な業界だ」ということです。本来の福祉の目的を成し得ていないことが多々あると感じています。
例えば、グループホームは住まい環境の提供という目的や役割があります。しかし、「住居さえあればいい」と考えている事業者も少なくないようです。福祉“サービス”ですから、サービス面も充実させないといけないですし当然、住居さえ提供すればいいわけではありません。
ここ最近のお問い合わせとしては、精神病院からの退院先としてホームを検討している精神障がいの方が増えているのですが、一般的に世話人は精神障がいの方との接し方を教わる機会がほとんどありません。接し方がわからないがゆえに、適切なコミュニケーションが取れず、場合によっては職員側が非常に大きな精神的負荷をかかえてしまうこともあります。「障がい」と一言に言っても、さまざまな特性があります。利用者それぞれの個別の特性や接し方などについてしっかりと学ぶ機会や時間をいかに確保するのか。こういった点はなかなか体系化されるのは難しいかもしれませんが、この点においてどう立ち向かっていくべきなのか、本質的な課題への対応は急務であると感じています。
――なるほど、それは本質的な業界の課題ですね。
石塚氏:当グループホームには、精神保健福祉士の資格者も在籍しています。私たちの利用者は退院後の再入院率が比較的低いといわれますが、「どんな支援をしてるの?」と病院の人に聞かれたことがあります。社内でナレッジ化し、情報連携ができているので、より高い品質の福祉サービスをご提供できているのではないかと思います。多角経営化している効果かもしれません。
一般的に外部の訪問看護ステーションですと、グループホームの世話人との「密な連携」はなかなか難しいかもしれません。しっかりとした連携が取れると「この人は自分のことをわかってくれている」と、利用者の方の信頼感も違います。ラポールを築けるかどうかは、より高い品質の福祉サービスをご提供するうえでとても重要です。
今後は、グループホーム、移動支援、訪問看護ステーションの他に調剤薬局も検討しています。調剤薬局をM&Aできれば、さらに事業基盤を強くすることができ、安心・安全なだけでなく、高品質・高満足度の福祉サービスをご提供できると思います。地域で連携が取れれば、利用者の満足度も上がり、職員の満足感も上がると考えています。福祉事業を展開しながら、福祉業界の課題を解決していきたいですね。