【BCPレポート】福祉事業所におけるBCPのポイント 入所・入居系 vol.22022.12.28#新着情報
本記事は、前記事【BCPレポート】福祉事業所におけるBCPのポイント 入所・入居系vol.1の続きです。感染者(感染疑い者)発生時の迅速な対応には、平時と緊急時の情報収集・共有体制や、情報伝達フロー等の構築がポイントとなります。ここでは、平時対応について見ていきます。
平時対応とは
平時からの備えとして、
・対応主体の決定、
・計画のメンテナンス・周知
・感染疑い事例発生の緊急時対応を見据えた事前準備
を、下記の体制で実施します。
(1)体制構築・整備
・体制整備
ここでは意思決定者や各業務担当者を決め、役割を整理して記載してください。
平時対応で最初に考えていただきたいことはBCPの運営を円滑に進めるための体制を構築・整備することです。
・意思決定者・担当者の決定
既存の組織体制も活用しながら、BCPの発動を決定する意思決定者や各担当者を決めて
明記してください。
これらの意思決定者や担当者には必ず複数名の代行者も合わせて用意しましょう。
意思決定者や担当者が感染者や濃厚接触者になった場合など
対応できない可能性も想定しておくことが非常に重要です。
・役割担当
担当者が決まったら権限と役割を明確にします。
決定した担当者や役割を踏まえ検討し記載してください。
(2)情報の共有・連携
・情報共有範囲の確認
ここでは個人情報に配慮し情報の共有範囲や連携の方法を記載してください。
感染者が発生した場合、感染情報をはじめとしたさまざまな情報を多くの関係機関と
共有する必要があります。
個人情報には十分配慮し、情報の共有先や方法、内容、タイミング等について記載しましょ
う。
・報告先リストの作成・更新
施設、事業所等の外部の関係者の連絡先や連絡フローを明確にし、リスト化しておいてください。いつどこにだれがどのような情報共有や連携をするかを明確にしておくと
連絡・報告漏れがなく緊急時のスムーズな連携につながるBCPとなります。
(3)感染防止に向けた取り組みの実施-1
ここでは、必要な情報収集の実施方法、感染予防対策の徹底について記載してください。
・最新情報(感染状況、政府や自治体の動向等)の収集
施設・事業所等での中での体調不良者の情報集約だけでなく、新型コロナウィルス感染症に関する最新の情報や国や自治体から発出される情報を収集し、施設・事業所等の感染予防対策を強化していく必要があります。
これらの情報をだれがどのように収集し、周知していくか等についても役割を明記しましょう。
・基本的な感染症対策の徹底
新型コロナウィルス感染症が発生してから1年以上がたちました。
すでに感染予防対策は入念におこなっていることと思いますが、正しく効果的に実施されているかを定期的に評価することも必要です。
これらの対策の点検、評価方法についても検討し記載してください。
・利用者・職員の体調管理
そして利用者に対しても個々の障害特性に合わせて有効な方法を検討するとともに
教育的にかかわることも重要です。
感染疑い者をできるだけ早期に発見し対処することは施設・事業所等の中で
感染を広げないために重要です。
障害特性により体調の変化を自発的に伝えることが難しい場合も想定されるため
普段接している職員の気づきが重要です。これらの体調の変化を共有する方法について検討し、記載してください。
・事業所内出入り者の記録管理
ウィルスを施設・事業所等の中に持ち込まないことも重要ですので、
施設・事業所等の来所者に対しては立ち入り時に検温をはじめとした体調確認を行いましょう。
(4)防護具、消毒液等の備蓄品の確保
・保管先・在庫量の確認、備蓄
ここでは消毒液の保管先や保管料の確認、発注ルールを記載してください。
備蓄品の管理担当者を決め、必要量を明確にします。
一日にどれくらい使用するか、何日分必要か、保管場所はあるかなどを検討のうえ
準備しましょう。
・委託業者の確保
感染が疑われる利用者への対応等により普段より使用量が増えることや
流行状況によっては納品まで時間がかかる可能性があることにも注意して
備蓄量を検討することが重要です。
(5)職員対応(事前調整)
ここでは職員の不足に備え、職員確保の方法を記載してください。
・職員の確保
職員自身が感染者や濃厚接触者に特定された場合、職員不足となることが予想されます。
職員が不足した場合、どのように調整するかを記載してください。
施設・事業所等の中で調整できない場合は、法人内の他施設、事業所等の外部に協力を要請する必要があります。事前に相談先を確認し、連絡の基準や方法も明記しましょう。
法人内でも職員が確保できない場合に備え、自治体や関係団体と連携する方法についても検討し記載してください。
職員の確保に関しては職種別の人員確保についてもご検討ください。
どの職種の職員がどれくらい減ったらどこに応援を要請するかを明らかにすることが重要です。
(6)業務調整
・業務内容の調整
ここでは優先順位を踏まえ職員の出勤状況に合わせた業務調整を検討し記載してください。
職員数が減った場合に重要になることが業務内容の調整です。
通常行っているすべての業務を継続業務、変更縮小業務、休止業務の3つに分け
感染者の発生に伴い追加で必要となる業務は追加業務に分類します。
継続業務や追加業務に分類された重要度の高い業務を中心に施設、事業所等の
感染者数や勤務可能な職員数の状況に応じた業務手順の変更について整理し記載してください。
また外部から応援にきてくれた職員に依頼する業務に関しても事前の準備が必要です。
依頼項目や方法等説明すべきことも明記しておきましょう。
(7)研修・訓練の実施
・BCPの共有
ここではBCPの研修・訓練がスムーズに実施できるよう具体的な方法を記載してください。
BCPが作成出来たら職員全員へ周知し、施設・事業所等で新型コロナウィルス感染症発生時に活用できるよう研修や訓練、シミュレーションを行う必要があります。
研修や訓練の時期や担当者などを具体的に記載し確実に実施できるようにしましょう。
・BCPの内容に沿った訓練
また、感染疑い者が確認された曜日や時間帯、感染者が利用者だった場合や
職員だった場合など様々なケースを想定した訓練を実施することで
課題を洗い出すことが重要です。
(8)BCPの検証・見直し
・課題の確認
ここでは洗い出された課題よりBCPを定期的に見直しBCPの改善を図りましょう。
洗い出された課題は最新の情報をもとに再検討しBCPに反映してください。
・定期的な見直し
訓練を実施し課題を洗い出す、そしてBCPを改善する、このサイクルを繰り返すことで実効性の高いBCPになっていきます。必ず検証、見直しの担当者や時期についても明記して下さい。
以上が、福祉事業所におけるBCPのポイント 【平時対応】の解説となります。
次の記事では感染対応について詳しくみていきます。
出典:厚生労働省YouTubeチャンネル
「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続計画(BCP)作成のポイント-入所・入居系-」
URL: https://youtu.be/zrw5X1PYpvA
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