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福祉オーナーとして「ヒヤリハットとリスクマネジメント」にどう取り組むべきか2022.06.28#新着情報

令和4年5月19日(木)に、当協会主催の講座が行われました。福祉オーナーのための障がいの知識講座で、今回のテーマは『ヒヤリハットとリスクマネジメント』。福祉オーナーとして、日々起こり得るリスクをどう防ぎ、対策、対応するのか。協会員のみなさんにはお馴染みになった、中込慶太講師(作業療法士養成学校 専任教員)に解説していただきました。

ヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、厚生労働省兵庫労働局では「危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のこと」と定義されています。

今回行われた障がいの知識講座では、まずはこのヒヤリハットに関して、全国の福祉オーナーから事例発表をしていただきました。挙がったのは、「鍵を閉め忘れてしまった」「食事時にトラブルがあった」「備品の管理が不十分でケガをしてしまった」などの事例。

中込講師は、「ヒヤリハットとリスクマネジメントは、医療の世界では進んでいるものの、介護・福祉の世界では進んでいない」と仰います。近年、障がい者や高齢者を狙った犯罪が増加しており、福祉オーナーとしては、どのようにリスクマネジメントして防ぐか。取り組みが必須になっています。

職員の教育研修がリスクマネジメントの第一歩

講座では、「ヒヤリハット」「インシデント」「アクシデント」「リスクマネジメント」の定義がそれぞれ解説されました。このような知識を身につけることも、リスクマネジメントにつながります。

中込講師は登山を例に取り、「登山の第一目的は安全に帰ってくること。死ぬリスクを冒してまで登山を楽しみたいわけではない。登山の素人と玄人の違いはなにか? 素人は途中で下山する判断ができない。それは経験や知識がないから」と解説してくださいました。

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定のひとつとして、「障害者虐待防止の更なる推進」が発表され、令和4年度からは運営基準に虐待防止の内容を盛り込むことが義務付けられました。虐待防止に関する取り組みは、福祉オーナーにとって欠かすことのできない取り組みです。では、虐待の発生要因は何なのでしょうか?

中込講師は、「職員への教育不足と、職員のストレス・感情コントロールが多くを占める」と言います。リスクの把握と予測は、経験もしくは知識としてリスクの原因と要因を理解していることが重要で、なにも知らなければ、気づくことも防ぐこともできない。トラブルを未然に防ぐためには、職員への研修が必須であるということです。

ヒヤリハットを報告、記録する

中込講師は、「技術の研鑽はリスクマネジメントである」と仰います。

ルールを知らない、技能を持たない職員が働く事業所だと、利用者事故、トラブル、紛争が発生する。被害者が生まれ、精神的苦痛、傷害や後遺症による遺失利益が発生。被害者への補償と責任を問われる。加害者は法的な罰則を受け、被害者への保証を支払わなければならない。そして事業所は、行政指導により、認可の有無が判断される。

そのような事態にならないよう、リスクマネジメントが必須ということです。

また、報告書、記録提出の意義として「安全の確保」「事象の共有」「透明性の確保」「正式な支援」「システムの改善」の5つが挙げられました。

「ヒヤリハットの報告、記録がないということは、危険な事業所であると言わざるを得ない。ヒヤリハットは関係者の危機管理意識の高さを証明するものであり、決して事業所の危機管理体制の不十分さを示すものではない。対極の考え方であるが、そこをしっかりと管理者が理解することが重要である」と中込講師に解説していただきました。

今回の講座では、インシデント(ヒヤリハット)を防止するための取り組みについてグループワークが行われ、他には「精神障害と知的障害、発達障害、精神疾患の違いや定義」「うつ病の方への7大対応法」などについても解説していただきました。

次回の講座は、『虐待防止対応』をテーマにする予定です。ご興味のある福祉オーナーの方は、ぜひ協会員にご登録ください。

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