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働く障がい者のための就労パスポート2022.05.25#新着情報

就労パスポートとは

就労パスポートは、障害のある方が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などについて、支援機関と一緒に整理し、事業主などにわかりやすく伝えるためのツールです。

 

就労パスポートを作成・活用するメリット

障害のある方にとって

・自分だけでは気づけなかった特徴を把握できるようになります
・それによって、自分の特徴をより理解することができるます
・支援者に自分の特徴を理解してもらい、自分に合った支援を受けやすくなります

事業主にとって

・就労パスポートの記載内容を参照することによって、関係者(障害のある方本人、人事担当者、上司、支援機関)が共通認識をもちながら本人の特徴に応じたかかわり方などについて話し合うことができます

支援機関にとって

・障害のある方本人と一緒に作成することで、本人の状況をより深く理解できます
・チェック項目が具体的に複数あるので、障害のある方本人、支援機関、事業主とで話し合う際に、共通認識をもつことができるようになります

就労パスポートをどのように活用できるか

就労パスポートは、次のような場面で、自分の特徴を相手(自分の希望する範囲の方)に説明するためなどで使います。

(1)就職活動段階
・他機関(就労パスポートの作成支援を受けた支援機関とは異なる支援機関)の利用登録時に、自分にとって必要な支援の内容を支援者と一緒に検討する
・職場実習前や採用面接時に、職場の担当者へ説明し、職務の設定などの参考にしてもらうなど

※就労パスポートは採用選考時の必須提出書類ではありません。

(2)就職後
・就職時に、現場責任者や上司・同僚などへ説明し、体調把握、作業指示、コミュニケーションなどにおいて参考にしてもらう
・就職して一定期間経過後、就職初期に講じられた配慮の実施状況、就職後の状況変化に応じた見直しの必要性などについて、上司・同僚、支援機関と一緒に確認するなど

就労パスポート作成・活用の流れ

(1)「就労パスポートをどのように活用したいか」についてのイメージを用意
就労パスポートの作成と活用の主体は障害のある方です。
・そのため、まずは障害のある方ご本人が、「就労パスポートをどのように活用したいか」について、自分なりのイメージを用意します(例:「事業主に提示して自分の特徴について理解してもらう」、「自己理解を深めるために作成したい」など)。(2)支援機関を活用しながら就労パスポートを作成
・自分の特徴を様々な角度から客観的に整理していくために、支援機関を活用しながら就労パスポートを作成していきます。
※この部分には一定の時間を要する場合もあります。(3)さらなる取組の実施、実施結果のふり返りをもとに就労パスポートを更新
・就労パスポートは、一旦作成したら終わりではありません。就職活動や施設内訓練、職場実習、就職後の職場において体験したことをもとに、障害のある方ご本人が、あるいは他者の意見などをもとに新たに気づいたことがあれば、支援機関や職場の担当者と相談しながら、以前書き込んだ内容を更新していきます。

就労パスポートを活用するときの留意点

障害者の就職や職場定着には、本人の取り組みはもちろん、職種・仕事内容や働き方の マッチング、職場の障害特性への理解や配慮、地域の支援機関のさまざまな専門的支援な ど多様な要因がかかわりをもっています。このため、障害者の就労支援を効果的に進める には、さまざまな支援者や関係者のなかで必要な情報が一定のルールの下に共有され、効 果的に活用されることが必要です。

採用選考時の必須提出書類ではない

採用の可否は総合的に判断する(面接+検査など)

・就労パスポートは、障害者が自分の特徴などを事業主や支援機関に説明するためのツール。
・就労パスポートで把握された情報は、他の面接や検査などで把握された事項と合わせて評価することが大切。

❌採用の可否判断のために就労パスポートの作成・提示を必須とする

❌就労パスポートを所持していないからといって不利に取り扱う

❌就労パスポートに記載されている情報量が多い、または少ないからといって不利に 取り扱う

・様式の各項目は、障害者本人の希望に応じて、部分的な活用・提示を可能としています。 (例:職場実習や採用面接の際には、項目1~5の中で特に伝えておきたい欄だけを記載して事業主に提示する。様式の項目1~3だけを提示する など)

さまざまな支援も一緒に活用するとより効果的

就労パスポートの情報を活用して支援機関と連携
⬇︎
障害者の特徴などに合わせた支援も活用
⬇︎
職場定着の促進!

就労パスポートを活用して支援機関と情報共有するだけで職場定着が進むわけ ではない。

適切な情報管理・情報共有のために

就労パスポートでは個人情報を取り扱うこととなるため、慎重な配慮が求められます。

特に、障害についての情報は、「個人情報の保護に関する法律」において「要配慮個人情 報」と位置づけられており、その取り扱いに特に配慮が必要となります。

説明と同意(インフォームド・コンセント)の適切な実施

1.  取得した情報を本人の希望に沿った就労支援に活用していくことについて、本人が 理解できるように説明し、本人の同意を得る。
2. あらかじめ情報共有の目的と範囲を本人に知らせ、情報共有することを明らかに。
3. 一旦情報共有に関する同意が取られていても、利用目的や利用範囲が変わった場合には、改めて情報共有の目的と範囲を設定して、本人から同意を取得。

就労パスポートの写しを取得する場合は「個人情報保護法」にもとづいて管理

事業主が就労パスポートの写しを取得する場合は、適正な管理のために、「個人情報の保護に関する法律」にもとづく措置を講じる必要があります。

就労パスポートの項目

1. 職務経験 

これまで職場や、福祉サービス事業所などにおける就職準備のためのプログラムなどで経 験した職務または作業とその期間(受障前のものも含む)などが記載されています。

2. 仕事上のアピールポイント

職場などでできていた(できている)ことや得意なこと、自分の強みが発揮できそうな職 種・作業内容、培ってきたスキルが記載されています。

3. 体調管理と希望する働き方

希望する働き方を通じて円滑な職場定着を図っていくために、本人が事業主に希望する配 慮などが記載されています。

ストレス・疲労

○ ストレスなどを感じやすい状況・場面

職場での作業中や休憩時間などにおいて、不安・緊張・イライラを感じたり、疲れを感じたりする状況・場面、特に体調の悪化や症状の再燃につながりやすいものが記載されて います。また、体調に波がある場合、どのような時に不調になるかなどが記載されていま す。

○ ストレスなどのサイン

ストレスや疲労を感じていることに気づくサインが記載されています。

○ 対処方法

ストレスや疲労のサインを感じた場合に本人が取り組むこと、または事業主に希望する配慮が記載されています。

通院のための休暇 

本人が定期的な通院を行っている場合に記載されています。通院のために休暇が必要な 場合は、その頻度(○週に○回)、曜日、時間帯(○時~○時、午前中など)が記載されて います 。

服薬管理のための配慮 

本人が定期的に服薬している場合に記載されています。服薬を管理するために事業主に 希望する配慮がある場合は、カッコ内に具体的内容が記載されています。

 

希望する働き方

本人が自分の特徴を踏まえ、無理なく職場に慣れ、働き続けていくために事業主に希望す る配慮が記載されています。

○ 業務量や作業内容・方法などの調整

本人が過度な負担を感じることなく業務の習得・習熟を図っていくために事業主に希望する配慮が記載されています。

4. コミュニケーション面

職場でのコミュニケーション面に関する本人の特徴が記載されています。

「自分で対処していること」の欄は、各項目や選択肢に関連して本人が対処していること (より効果的にコミュニケーションをとるために工夫していること、苦手な面を自らカバー する取り組みなど)がある場合に記載されています。

相手とのやりとり

本人から相手に対して言葉・表情などで意思を伝える(発信する)際の特徴について記載されています。

相手の気持ちや考えの読みとり(推察)

相手の気持ちや考えを、表情・身振り・言葉などを通じて理解し、読みとる(推察する、受信・判断する)際の特徴について記載されています。

 

5. 作業遂行面

仕事の流れに沿って本人の特徴が記載されています。

「自分で対処していること」の欄は、各項目や選択肢に関連して本人が対処していること (より効果的に作業を遂行するために工夫していること、苦手な面を自らカバーする取り組 みなど)がある場合に記載されています。

 

就職後の自己チェック

<使い方>

1. 就職後の一定のタイミング※1で、「4 コミュニケーション面」と「5 作業遂行面」 について変化や成長を感じる項目(番号)を記入。本人が可能な場合、変化などの具体 的な内容を別途まとめておくと、2のふり返りで有用。

(※1)たとえば、就職1、3、6カ月後、1年後など。具体的なタイミングは本人が職場や支 援機関の担当者と話し合って決定します。
なお、記載例では就職 1 年後までにしていますが、必要に応じて、随時または就職1 年以上経過後に自己チェックすることも可能です。

2 記入した項目について、ふり返り※2を実施
→ 本人が自分の現状をどう捉えているかなどを整理
→ 本人のステップアップや課題解決に向けた目標の設定、必要な支援内容の検討など

(※2)本人が他者の意見なども踏まえてより客観的に自分の状況を整理できるよう、本人、 職場の担当者、支援機関の担当者の3者で行うなどの方法が考えられます。

3 ふり返りの結果、就労パスポートを更新する場合

就労パスポートの更新については、本人から希望がある場合と、周囲が必要性を感じ る場合が考えられます。

参考:支援機関

本人が利用している支援機関のうち、本人が円滑な職場定着を図る上で継続利用すること が重要と考える機関について、その名称、連絡先の電話番号、本人が利用している支援の内 容・頻度が記載されています。本人が職場定着のために必要と考える場合には、医療機関に ついても記載されています 。

なお、記載例のように、本人が就職後、必要な際に職場内の担当者がまずどこへ連絡すれ ばよいかがわかるようにされている場合もあります。

 

参考資料

この記事は、以下のサイトの資料をもとにまとめました。

厚生労働省:就労パスポート
ダウンロード様式などは、こちらにあります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06d_00003.html

厚生労働省:就労パスポート事業主向け活用ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/000565958.pdf



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