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「就労Aの資金調達の重要ポイント」【始めよう!ソーシャルワークシェアリング】 vol.52022.10.05#新着情報

 

 

本協会では、2021年5月に神奈川県川崎市多摩区にて開業した「ほまれの家登戸店(ほまれの家グループ、運営:Future WINGS株式会社)」、2022年4月に神奈川県相模原市にて開業した「インフィニピー小田急相模原(ほまれの家グループ、運営:インクルクー株式会社)」それぞれのオーナーであり、本協会の理事でもある奈良有樹と今野洋の実体験をもとにした≪就労継続支援A型事業立ち上げ実践会》を開催しています。本稿では、実践会の様子を振り返りながら、就労継続支援A型事業所の開業、およびソーシャルワークシェアリングという新しい社会概念の普及までの道のりを連載でご紹介していきます。第5回のテーマは、「就労Aの資金調達の重要ポイント」です。

第1回「就労Aの仕事受注の誤解」
第2回「就労Aの物件探しのポイント」
第3回「人材採用と資金調達」
第4回「就労Aの仕事獲得の重要ポイント

資金調達という課題をいかにクリアするか?

以前この連載で「福祉事業の場合は資金調達の難易度は比較的低いとされている」「しかし財務状況や経営環境によってその限りではない」というお話をしました。

実際、この事業での資金調達は〝思いのほかスムーズにいく〟というのが私たちの実感でありますが、それでも不安に感じる方、つまずきのある方もいらっしゃることでしょう。

私たちのもとにも、そうした相談が寄せられることが多々あります。

今回は「ほまれの家登戸店」を開業した(上記参照)今野の資金調達の事例を見ていきましょう。

まず、今野が法人を設立したのが2020年9月1日(開業は2021年5月)。開業の際には「地銀」を2回訪問(初回訪問日10月12日)、「日本政策金融公庫」を2回訪問(初回訪問日10月19日)。そしてそれぞれからの融資が確定したのが、地銀10月21日、公庫10月28日。

いかがでしょうか。9月に法人を設立し、翌月中には融資が確定したわけです。かなりスムーズですよね。今野自身も「正直、拍子抜けするくらい簡単だった」といいます。

「福祉事業は資金調達の難易度が低い」は、今野の場合、その通りだったわけです。

 

訪問の際に言われること

地銀と公庫、それぞれ2回ずつの訪問でしたが、まず1回目の訪問は「ご挨拶程度」だったといいます。「資金調達を考えています。どんな書類が必要なのか教えていただけますか?」という感じで、まさにゼロからのスタートです。

そこで先方から言われるのが「事業計画書を作ってください」ということ。地銀は地銀の、公庫は公庫のそれぞれのフォーマットがあり、それに沿った事業計画を作る必要があるのです。

今野の場合、法人設立にあたって最初に取り組んだのが自らの事業計画書作りでした。その作り上げられた計画書をもとに、地銀、公庫それぞれのフォーマットに項目を落とし込んでいき、足りない部分があったらそこを補足していく。したがって提出にも時間をかけることはありませんでした。「事前に事業計画書を作っていたことが、かなり(先方の印象に)プラスに働いたのではないか」と今野はいいます。

そして2回目の訪問。担当者との面談で提出した事業計画書の実現性や収益の確実性について話しました。

これで融資確定。実にスムーズな流れですね。

ただ、今野が後に専門家から聞いた話によると、融資には「協調融資」というしくみがあり、それは今回のケースでいえば地銀と公庫がお互い連絡を取って最終確認作業をする、というものです。目標額達成のために地銀と公庫に融資をお願いした。公庫が融資OKだとしても、地銀がノーであれば、公庫としては貸し倒れになることもある。そのための協調なわけです。

どちらかがノーと言えば、話はまた違ってきた、ということです。

 

しっかりした「事業計画」が成功のポイント

おわかりのように、スムーズな資金調達成功の大きなポイントは、「事前の事業計画書作り」にあるということです。

今野がファイリングして用意した事業計画書は、総ページ数50ページにわたるもの。ただしFC本部が用意した就労A型事業についての説明書きも加わっていたので、実際に今野自身が作成したのは、ビジョン、ミッションその他が書き込まれた15ページほどだったといいます。もちろんここはビジョン、ミッションなどが書かれた、しっかり作り込まれたものでした。

事業計画書は、公庫のホームページからダウンロードしたフォーマットを埋めただけの書類でも成り立ちはします。しかし、そうした事業計画書しかない相手と、事前に作り込まれた事業計画書を用意している相手、貸し手としてどちらを信頼して融資を実行するかといえば、それはもちろん後者でしょう。

(ちなみに今野の場合、作り込まれた分厚い事業計画書は銀行の口座開設の際にも大きな武器になったといいます)

また、福祉事業の融資は、これまでに福祉事業の経験が6年以上あると通りやすいと言われています。さらに、一緒に事業をやるメンバーに福祉事業の専門家がいれば、それもまた大きな加点ポイントとなります。あるいはしっかりしたFCに加盟するのであれば、他店舗の実績も示すことができ、これもまた信頼性獲得の大きなポイントとなります。

こうしたものが無いのであれば、なおのこと事前の事業計画書づくりが重要になってきますね。

言うまでもなく、融資獲得はすなわち信頼性獲得の作業です。たとえば「福祉の協会に加入してこれこれこうした勉強会に参加している」ということまた、信頼性獲得の材料となるのです(手前味噌になってしまいますが)。

「福祉事業の資金調達は比較的難易度が低い」。これは事実なのですが、それでも〝何もナシ〟の状態では、ある程度の時間がかかってしまうでしょう。スムーズな資金調達のため、信頼性獲得の材料を揃えましょう。



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